「まずは腹式呼吸を」「息を吐け」と言わないボイストレーニング

query_builder 2025/03/17
ブログ

腹式呼吸をマスターしましょう」とか、「腹式呼吸がまずは大事」とかいう


ボイストレーニングスクールのレッスンや、病院の音声外来の訓練が多いのですが、


当校では、開始初めには言わないようにしています。


なぜなら、

レッスン始めに「腹式呼吸」の練習と称した呼吸だけの内容をやると、


かえって声を出すボイストレーニングに悪影響が出ることが臨床的に分かっているからです。



俗にみられる

お腹に手をあてて「フーフー」とする「息を吐く」練習や、


歯間音の「S」の音だけを強くするとか、



実はこれが一番「発声」にとって良くないのです。


リップロールなども、喉頭で息を強く吐き出すものです。


実際の発声には、このような強い息は全く要りません。

声を出しながらの呼吸の調節のほうがよっぽど重要です。


ただやたらと「息を吐かせる」練習は、本当に発声にとって危険です。


そして「腹式呼吸」の練習にさえなりません。



意識的に強く「息を吐こう」とするだけで、

お腹や胸、喉頭などを一瞬支点に使ってしまい、


むしろ気管支~喉頭内にあった生理的な「呼気」(出ていこうとする息)を止めてしまっているともいえるのです。


逆に腹式呼吸とは、

喉頭や胸/腹で「息で声を押し出して」いるのではない発声の状態を指すものです。


一切息を吐こうとしないで上半身や喉頭がリラックスしている

良い発声時には、自然と出来ているものです。



逆に、明石家さんまのよくやるような「引き笑い」の練習をするほうが、呼吸の練習には有効です。


また、「息と声の関係」についてよくわかる例を挙げてみましょう。


立った状態から前傾に倒れこみながら、足を踏み出さないと倒れる、、、!


というギリギリのところで声を出してみて下さい。



実はこういった時が一番生理的に「呼気」と「発声」のタイミングは合っているものです。





むしろ「あ~倒れる~」となって片足が出そうになった時、

「息を引いて」います。そして息は止まるやいなや、の瞬間、


この時、もっとも声帯は「発声」しやすいタイミングになります。



倒れこむ瞬間、「ふ~っ」と息は吐いていなかったと思います。




むしろ「吐こう」とする動きが挟まらないほうが良い声が出るのです。



「息と声との関係性」が良くなった時に、


お腹や胸や、喉頭が緩んでいる際の「勝手に吸い込まれる」ような

吸気は、すでに「腹式呼吸」です。



完全に喉頭まわりや胸などの上半身がリラックスしており、

息がそのまま声になり、

さらにリラックスさせるほど声の「鳴り」が強まる状態は


真に呼気(出ていく息)と合致しています。


「息が声にのっている」ときほど、実は息は吐いていないのです。

声を息で押してはいません。


このように直接的なことばのイメージと、実際の発声というものにはギャップがあるのです。



ですのでレイクラブでは、

「腹式呼吸」という便利なことばを、レッスン始めに使わないようにしています。


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