発声障害の根本原因、「舌の力み」を取るボイストレーニング
2023/04/05
機能性発声障害は、声帯そのものの病変が見当たらないことが多く、「心因性のもの」と考えられがちですが、
その正体は「舌の力み」です。
舌の力みは始め自分では気付けないことが多く、これが発声障害の最も厄介な点です。
緊張する場面や、「言わなくては」という場面において、精神的なプレッシャーが
身体の「舌の力み」に転化されてしまうのです。
そして、自覚しづらい「舌の力み」が、声そのものや発音を「不本意」に邪魔すると、
意志に反して起こる感覚となり、戸惑ってしまうのも仕方ありません。
舌は、独特な器官です。
舌という「筋肉の塊」は、まず形が変わっています。
口を開けて舌を覗いてみてください。
のどの奥の方は丸く、前方上面は平らで、下の歯列の真ん中にニョッキリ生えているみたいですが、付け根は喉頭の上部(舌骨)で、まさにのど仏の上に乗っかっているのです。
舌本体の形も、舌先も変化しますし、
下顎の骨や頭蓋骨から腱でつながっているので、上下前後斜めと、3次元的に動くことが出来ます。
随意的に動かせる反面、不随意的にも力が入りやすい筋肉でもあるのです。
舌は力んでいると、舌幅は細く、舌先は尖っていて、舌の中央に出っ張りや凹みが見られます。
または舌の淵が浮き立つように見えたりする場合もそうです。
これでは、根元=喉頭のほうにも力がかかりやすくなります。
力をかけられた喉頭は「固定」される状態になり、声帯が強く閉まるだけでなく、
喉頭や咽頭に「余分な動き」を引き起こさせます。
すると、知らず知らずのうちに
声道(せいどう)の中を声が通りぬけにくくなり、圧力が逆行するようになります。
始めは「声がのどに良く鳴る」感じがするかもしれません。
しかし、過剰に閉まる声帯に「発音」を同期させるように他の発声器官が頑張るため、
どんどん「ことば」が喉の奥に引っ込んでゆくのです。
次第に、喉頭の内部にある声帯の開閉の乱れや、軟口蓋、咽頭後壁などの不随意な動きまで誘発します。
これが発声障害形成の恐さです。
癖になった二次的回路は、発声器官が「勝手に力む」ようになってしまうのです。
ある特定の子音の発音や、決まったことばの言い回し などに特異的に現れたり、
文節や文章の終わりに声が潰れたように急に低くなったりします。
「ちゃんと話そう」という時に限って、舌をはじめとする発声器官「力み」が入り込んだ状態になりやすい、
これが機能性発声障害の特徴です。
レイクラブでは、「舌の力み」を取るために、様々な発声メソッドでアプローチします。
脳は、その運動感覚を記憶しています。
土台となる「発声」から見直すことで、「舌は力む必要がない」という感覚になるように仕向けるのです。
自分を不愉快にさせるその「癖」を、止めたいのにやってしまう習慣性を変えるには、その感覚自体が変わるような
脳の働きが重要なのです。