「滑舌良く」「ハッキリと」「良い声で」の落とし穴 発声障害の危険性

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「滑舌良く」「ハッキリと」「良い声で」の落とし穴 発声障害の危険性

2023/01/23

痙攣性発声障害、過緊張性発声障害、などと診断名がありますが、大きなくくりでは「機能性発声障害」といえます。

 

耳鼻科クリニックでファイバースコープでの診察を行い、所見で声帯そのものに異常が無ければ、

それは「機能性」の問題であり、「発声(発音)」の仕方の問題なのです。

 

機能性発声障害は、

声帯結節、声帯委縮、声帯溝症など、声帯そのものの問題と重複している場合もあります。

その場合、

ステロイド吸入などで声帯そのものの治療が完了しても「声質の変化」「話しづらさ」「言いにくさ」「歌いにくさ」が残ります。

また、次第に「息が続かない」、「息苦しさ」が顕著になってくる場合もあります。

 

発声障害は、「呼吸の問題」や「発音(ことばのつけ方)の問題」とも密接に関連しています。

決して声帯だけの問題ではありません。そして 必ず「後天的」なものです。

 

習慣性によって身に着けてしまった「癖」であり、自分ではあまりにもそれが自然になっているため、

発声障害発症の原因が他にある、と思ってしまうのです。

 

「自分の発する声」、「発することば」に対して意識の高い人ほど、そこにリスクがあります。

 

「良い声でやろう」「滑舌良く話そう」「ハッキリことばを言おう」という思いが働きすぎる場面ほど、

それが呼吸器官や発声器官の力み に行為として転化されていったのです。

 

よく昔から言われてきた発声についての文言、

「息をちゃんと吸ってから話し出す」「お腹に力を入れてお腹から声を出す」「息を沢山吐くようにして声を出す」

「口・舌をしっかり動かして発音」などなど、、、。

 

実際にこれをやると初期の頃は「ちゃんとやれている」手ごたえのように感じてしまうことがあるのです。

 

実際に発声時に身体が上記のことをやると、

お腹に力を入れただけでも「喉頭に力を入れた」固定状態になり内側の声帯に力がかかりますし、

息を吐くと声帯は開くのにそれを力で閉める、という矛盾状態になります。

また、舌を動かし過ぎると、舌本体や舌先が力むことにもなります。
 

発声の運動支点を余分に作ってやることが「ちゃんとやっている」感覚になってしまうのです。
 

「第一声目がつまる」「声が出しにくい」「声が途切れる」「のどが絞まっている感じがする」などの自覚がある時は

すでに発声障害の初期レベルです。

その発声時の「和感」は正しいのです。何か生理的に反することをやっている身体感覚のサインです。

 

そのサインを「精神的なもの」とすり替えないで、「発声の悪習慣」の改善に取り組む勇気が必要です。