痙攣性発声障害は病気ではなく、ことばの作り方の癖です

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痙攣性発声障害は病気ではなく、ことばの作り方の癖です

2022/09/14

痙攣性発声障害 という「障害名」が考え出されたことにより、医療機関において用いられることが増えました。

この複雑な症状を一言で表す便利さから、徐々に普及してきたのです。

 

この「便利なことば」によって、重い難治性の「病気」のようなイメージを持つ方もいらっしゃると思いますが、

あくまでも、「機能的発声障害」のひとつです。

 

機能的な発声障害は不可逆的な「治らない状態」ではなく、実際には自然な発話に近い状態にまで回復してゆけるものです。

しかし、機能的発声障害の改善は、「自分の発声を見なおし」、「行動を変える」ことを決意した人にだけ訪れるものなのです。

 

なぜ「ことばが言いにくい」のか、「声が出にくい」のか、何か特別な「原因」があるに違いない、

と考えてしまうのですが、

原因は「発声器官に力みがあること」、そのもの、です。

本来、あらゆる発声器官に余分な力をかけずに発声した場合には、決して違和感はありません。

 

「いや、自分では発声器官に力みなど入れてない」という人でも、実は力みがあります。

ボイストレーニングレッスンを重ねていくと、少しずつご自身でそれに気づけてくるのですが、

力を入れた状態がもはや普段の「馴染み」があるやり方なので、始めは感覚的に分からないのです。

発声器官は身体の四肢とは全く異なる次元の繊細さで、完璧な機能の調和が保たれているのです。

 

下顎は、力みの度合いが大きい器官です。下顎は全ての発声器官の大元の「枠組み」です。

大人になってからの歯並び矯正、ストレスによる寝ている間の歯ぎしり、食いしばり、なども注意が必要です。

顎関節症がある場合、顎関節の力みがすでにあります。

 

は、自分では力ませているつもりはなくても、無意識に力みやすい器官のひとつです。

発声していなくても、口腔内における舌の状態には常に気をつけなくてはいけません。

舌先で前歯の後ろに押し付けたり、舌面を硬口蓋に付けておく、といったことも舌の力みです。

 

舌や下顎の力みがあると、それに影響を受けるのが喉頭です。

舌や下顎からあらゆる筋や筋膜で連結しているのが喉頭だからです。

 

喉頭に少しでも「固定」するような力みが入り込むと、まず、柔らかい呼気が供給されにくくなります。

意識的に「吐く」息ではなく、止めている「息」でもなく、喉頭が緩んでいることだけで起こる「そこに在る息」です。

声帯は、その「一瞬のそこに在る息」だけで鳴り出せる最もデリケートな発声器官です。

 

喉頭に力みが入り込むと、次第に「声そのもの」と「ことばにする」こと両方を頑張らなくてはならなくなります。

そこで「ことばの作りかた」に工夫が必要になってくるのです。