自分に合った音域・共鳴で「話し」「歌う」ことが、正しい発声に戻る近道
2022/08/05
声帯そのものに器質的な異常が無いのに(声帯ポリープ・声帯結節・声帯溝症等)、
声が出しづらくなる(歌いづらくなる)症状が起こる
機能性発声障害 という障害の発症は、ほとんどが 「声の酷使」 が原因です。
コールセンターでの長時間の電話応対や、対面での接客業、受付・窓口業務などのお仕事の方や、
カラオケが大好きで長時間、長期間歌ったりしてきた方は、
明らかに「声を酷使してきた」という認識があります。
今まで自分がコントロールしてきたようにやっても、もはや思い通りに声が操れません。
しかし、発声障害を発症した方の中には「声を酷使してきた覚えがない」、という方も多いものです。
実はこのような場合でも、知らず知らずのうちに「声を酷使」してきていた、ということがあります。
それは、自分に合った正しい声の音域・共鳴 ではないところで発声していた、という事です。
下顎の力みや、舌の力み、軟口蓋の力み を加えながら低く発声することが地声だと勘違いしていたり、
発声時の「呼吸の仕方」に癖があると、
地声の音域が極端に狭く なります。
喉の奥、または胸に響かせるような共鳴の範囲の声のトーンになっていることが多いのです。
声そのものが上顎や頬骨、鼻腔も含め、顔面上半分あたりに響く感覚を知らない、ことを意味しています。
「自分は低い声しか出ない」、「もともと声の通りが悪い」、「声がこもってよく聞き返される」と思っている方ほど、
そもそも地声の音域設定が間違っている という事がよく見受けられます。
声の高さを変えていくとき、高くなってきた際に少しきついな、と思うところが
「声のチェンジ(換声点)」です。
その時、軟口蓋を緩め直して、声の共鳴(響く場所) を変化させていかなくてはなりません。
この「換声点」をなめらかに行き来して、声の高さをある程度自由に変えられる、ということを身体が知らないと、
下顎の力みや、舌の力み、軟口蓋の力み に頼ってしまい、
発声器官(喉頭)を固めながら息で押すような発声に陥りがちになってしまいます。
つまり、声の音域とは、声の共鳴(響く場所) に深く関わることなのです。
共鳴のチェンジを身体が知らないまま、声の高さを力で出すために
喉頭そのものに発声の運動支点 が生まれるような「ことば」のつけ方になると、
ますます「労力の必要な」状態になってしまいます。
歌唱においても、
この「声のチェンジ(換声点)」の音域そのものを、力みで抑え込み、
「声の高さ」を力と息でコントロール努力を行う期間が長くなってくると、
ある特定の音域の音程が非常に不安定になる 歌唱特有の発声障害が起きたりもします。
機能性発声障害は、
正しい声の音域の広げ方・すなわち共鳴を知る ことで機能を拡大、回復させることが可能なのです。