接客・コールセンター・受付・窓口業務など声を使う仕事の方が陥りやすい「発声障害」
2022/07/17
接客・コールセンター・窓口業務や、受付・電話応対が多い職種では
「いらっしゃいませ」「お待たせいたしました」「ありがとうございました」など、必ず使う定型文が多い職種です。
この、言わなくてはならない定型文には、第一声目が 母音の出だし が多いのです。
この 出だしの母音 から「ハッキリ言おう」「ちゃんと良い声でやろう」と思うことに、
潜むワナがあります。機能的な「発声障害」形成のワナです。
もしあなたが
第一声目が出ないと感じる、第一声目がワンテンポ遅れて出る、など第一声目のことばの表出に違和感を感じることがあるならば、機能性発声障害 の入り口に立っていると言えます。
声そのものが出るタイミングに、本来ズレは無かったはずです。
その声の鳴りだしがズレるという事は、声帯(声帯周り)に大きな力がかかってしまっているのです。
昔から俗にいう「お腹から声を出す」ために良いと考えられていることがあります。
お腹に力を入れる、沢山息を吸って息をのせるように吐きながら声を出す、といったことです。
これを長期間行うと、かえって声にとっては弊害になる危険性をはらんでいます。
「頑張る発声」の悪循環ループのスイッチを入れ 二次的な発声回路 を作り上げてしまうことになるのです。
発声時の息を頑張るようになると、それだけで 発声器官の力み が起こります。
発声器官とは、声帯だけではありません。
鼻と口の息の出入りを分ける 軟口蓋 や、母音や子音を形成する舌、喉頭と言われる軟骨の枠組みを支える喉頭筋 なども発声器官です。
発声障害 とは、むしろ声帯以外の発声器官の力みが関係するのです。
「いざ、ちゃんとやろう」という意識が強いときほど「うまく声が出ない」と感じている人は、
呼吸の力み が関わっていると考えられます。
普段の会話時などは、全く意識しない「ラクな呼吸」で、発声器官に負担をかけず話せているのです。
また、発声に関わる運動は、脳から直接出ている 脳神経 が多く関わります。
この脳神経は、首から上の運動の司令塔ですが、周囲の情報を感じとる「感覚」の部分とも一致しています。
頑張る発声を繰り返す習慣により、
あらゆる発声器官に疲労が蓄積されてゆきます。その疲労が一日で解消されないと、
脳神経も疲弊してゆくのです。
疲弊した脳神経は、細やかな感覚を感じにくくさせます。
すなわち強度の強い刺激に対しても鈍感になります。発声器官に力が入っていることが「普通」になってしまうのです。
それによって下顎の「噛み締め」、顔面神経のこわばり、舌の力み、なども助長されます。
首裏のコリもひどくなり、背中まで凝るように力みが広がってゆきます。
朝の職場でのあいさつの出だしが言いにくい、話し続けていくと以前よりも早く「声が疲れる」、
一日の仕事終わりで「声がかすれる」などと共に、
声を出している時に首裏がひどく凝るようになった、と感じる時は、早めに発声を見直しましょう。