発声障害予備軍と発症の境界 繰り返す「声の不調」は要注意
2022/05/22
発声障害の発症は
「ちゃんと話そう」、「出だしの言葉からハッキリ言おう」、「もっと良い声になりたい」等々
自分の発言に対して意識の高いビジネスパーソンや、頻繁に意識的な声を使う職業の方に潜むリスクです。
そういう方全てが発声障害になるわけではありませんが、
長期間に渡って、同じように声を使って来ているのに、それまでは問題なくても
加齢や身体の状態の変化、環境変化によって発声障害発症の引き金を引くこともあるのです。
発声障害の予備軍の症状としては、
繰り返す喉や鼻の炎症(上咽頭炎など)が治らない、頻繁に起こる「声枯れ」、
少し長く話すと「声が疲れてしまう」、
「声がひっくり返りやすい」、「大きな声が出せない」「舌がもつれるような感覚がある」ということが挙げられます。
「声の不調」が長引くなと感じたら、それは自分の発声のバランスが崩れているサインです。
思春期(学生時代)に、
朗読や指名された発言時に「声が出しにくい」と感じたことがある場合や、
接客アルバイト中に「一瞬声が出なくなった」等がある場合も、プレ予備軍と言えます。
これらは
舌や下顎、喉頭などに力が入りやすい身体の傾向があることを意味しています。
そして発症の引き金として最も多いのが
花粉症や風邪を引いた時などによって、のどや鼻の粘膜の状態が良くない時に、頑張って声を使っていたことです。
呼吸の「息の通り」が少しスムーズでなくなるだけでも、発声はしにくいものです。
「呼吸」そのものを頑張ってしまうことで、「発声」そのものが「大きな力」で行なう「運動」になってしまうのです。
「お腹から声を出そう」という意識になり、
実際にお腹などに力を入れて強く「息を吐き」ながら発声する事が、発声障害の最大の原因です。
「息を吐く」ことを胸や腹で行うと、呼気圧が浮動的になり「声門下の圧力」が減るため、
結果、強い声帯閉鎖に頼らざるを得なくなります。
そして、息を「吐いている」ので「息苦しく」なり、「たくさん吸わなければ」、という過剰な吸気運動につながっていくのです。これでは胸に力みが入りやすくなります。
また
職場などの環境が変わる、グループでの大役を任される、責任の重い仕事の長期間の遂行など、
「頑張らねば!」という精神的プレッシャーが強くなる時は要注意です。
精神的な緊張感が続くと就寝中の真の身体のリラックスが起きづらくなり
胸や背中、首裏や肩が凝ります。寝ている時、下顎もリラックスできなくなってしまいます。
下顎が力みやすい傾向は、発音時に舌や喉頭にも力がかかりやすくしてしまうのです。
発声障害の発症の境界線は、
「本来の自分の声の高さで話していない」ことだと私は思っています。
自分の声帯に合った自然な声の高さであれば、正しい声の共鳴になります。
これに戻るだけで、「発声のバランス」も整うことになるのです。