痙攣性発声障害は機能性発声障害のひとつ、発声を見直そう
2021/07/12
痙攣性発声障害 という障害名が独り歩きしています。
医療現場でも、良く分からない声の出しにくさのある障害を「痙攣性発声障害の疑い」で片づけている感があります。
声帯ポリープや声帯結節などの、視察で明らかに分かる器質的な声帯そのものの異常がないのに、
声がつまる、声が揺れる、声が震える、声が途切れる、などの症状が出ます。
ことばのなめらかさに欠ける不自由さが時に強く起こったり、起こらなかったりと、とても浮動的です。
この声の不揃いさを、あたかも声帯が痙攣しているかのような意味合いで「痙攣性」ということばで表しているのですが実際の症状とはかけ離れています。
脳の病気でもなく、脳神経の異常でもありません。機能性発声障害のひとつです。
実際は発声の悪習慣が元になっている 機能性発声障害 のひとつですから、発声の悪習慣さえ正せば
ある程度、声帯振動を安定的に回復させることは可能です。
声帯そのものが「痙攣」しているわけではなく、
舌や軟口蓋、喉頭など、様々な発声器官の力みが交錯し、声帯の開閉が拮抗し、声帯振動が安定的でなくなる状態です。
そして、声帯振動が安定的でないことによって、言葉としてつながってゆくときに
軟口蓋の生理的な動きが阻害され、ことばが言いにくくなる様相なのです。
声帯振動が安定的でないということが、機能性発声障害の根底にはあります。
発声時に「息を強く吐く」傾向がある場合、第一声目から息漏れがある声帯閉鎖に陥りがちとなり、
声帯振動が安定しません。
ほどよい呼気持続が土台にある一定の呼気圧が保たれた発声ほど声帯は強く閉める必要もなくなり、声帯振動は安定するのです。
また、
生理的な範囲を超えて強くしっかりと閉めた声帯は一見、非常に「鳴りが良く」聞こえます。
妙に鳴りが強い「声」は、はじめは「良い声」と勘違いしやすいのですが、長いフレーズになると息漏れを生じてきます。
息漏れがわずかでもある声帯閉鎖はどんどん 声帯閉鎖強度が強くなる 傾向に傾いてゆきます。
声帯閉鎖が強くなってしまう原因に舌の力みが身体素地としてあることが考えられます。
構音(子音を付加する)際に舌先や舌根に力みが入りやすい傾向があった場合、
始め「い母音列」や「サ行」などの音韻を
特定のことばを「息をコントロール」して発音するように工夫します。
瞬間的に声と息のタイミングを操作的に図るようになり、軟口蓋の生理的な動きを阻害するようになるのです。
発声治療室レイクラブでは、
痙攣性発声障害の疑いのある方も、過緊張型の発声障害も、吃音と呼ばれるような症状も
全て 機能性発声障害 であると考えています。
「発声の矯正」へのアプローチはみな同じです。
専門的に声を使う職業の方、舞台やテレビなどでお芝居をする方、プロの歌手の方の声の不調もしかり。
軽度、重度問わず、どのような発声障害のレベルでも、回復へのきっかけは同じです。
安定的な声帯振動を引き出すために、
呼吸器官や、発声器官に力みを加えない自然な発声とはどういう状態だったか、に回帰することが重要なのです。