機能性発声障害は 発声時の「呼吸の仕方」と関係がある
2021/06/03
私達の意思疎通や情報伝達するための音声コミュニケーション、すなわち「声」=「ことば」は通常
「完璧な状態」、様々な身体器官の連携による「完全な一致点」で実現しています。
ゆえに、ほんのわずかな変化でも途端に「声の出にくさ」を感じます。
ホルモンバランス等による全身状態の変化によって声帯が痩せたり、風邪を引いたときなどに声帯がむくんだりしても、
「声が出しにくい」と感じます。
しかし、
機能性発声障害 の「声の出しにくさ」は少し種類が違います。
自分がやっていることと起きていることのズレ、「不一致感」です。
耳鼻咽喉科などで声帯を視察しても、声帯そのものにはポリープや結節などの病変が無く、キレイだと言われます。
そこで、初期の症状が軽度の場合は、医師や家族から「気のせい」と判断されたり、本人もそう思っていたりします。
しかし、機能性発声障害は
舌や軟口蓋といった周辺の発声器官との連携した働き方に問題が起きたり、
位置関係のズレによって声帯閉鎖の状態がわずかに変化した、ということが考えられるため、
発声に努力が必要になってしまうのです。
身体は新たな「一致感」を求めて生理的に少しでも楽に感じられる工夫をします。それは無意識的に起こるものです。
それが長期間続くと気づいたころには、二次的な発声回路が出来上がっているのです。
この二次的な回路とは 「呼吸」の力みが大きく関連しています。
「息の力み」、これが機能性発声障害の原因にもなっていますし、症状の浮動的な要因にもなっています。
「きちんとやろう」という思いから、
俗にいう「息をのせるように」ということを実践してきた結果、「息を吐こう」とするために
お腹に力が入ったり、胸や喉頭に力が入ったりします。
すると逆に「ことば」にしてゆくときの「息を止める」ことにもつながってしまうのです。
これらがあると、喉頭そのものが固定された状態に近くなり声帯は過剰に強く閉鎖します。
発声そのものが「息の力み」コントロール下に置かれてしまいます。
すると軟口蓋の開閉も生理的でなくなってしまうのです。
「呼吸」は普段無意識下で行っていますが、半ば「随意的」なコントロール状態にもできます。
「無意識下」では息の出入りは最小限に近く、声帯開閉も反射的にしています。
本来、何も考えなくても呼吸と声帯は完全一致して作動出来るものなのに、いざ「やろう」とすると「息の力み」が入り込んでしまうのです。
「呼吸」のコントロール下においた発声状態には「一致感」がありません。
しかしながら、
発声治療室レイクラブでは、「腹式呼吸が大事です」とばかりに「呼吸」に関するメソッドは最初に行わないようにしています。
呼吸のことは、本人の理解度と改善度合いがかなり進んだ段階でないと、かえって力んでしまい逆効果になるからです。
発声時の「息の出入り」は、まずは「最小限で行えるもの」という事だけで十分です。
これで声帯の生理的な、反射的な閉鎖を引き出すこともできます。
「腹式呼吸」とは大げさにお腹を出したり引っ込めたりしても出来ていません。
お腹や胸や喉頭、上半身に全く力みが無い状態の息の出入りを感じれば良いのです。
この最小限の「息の出入り」に興味のある方はレイクラブの
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