機能性発声障害の後遺症が治った!普段の会話習慣から気を付けて
2021/02/05
何年か前、A・Y君は山梨県から体験レッスンを受けに来校したことがあり、その後転職に成功して東京在住になりました。
そして改めてボイストレーニングを受けたいと再来校したのでした。
A君は十何年も前高校生の時に高音の歌を歌いすぎて明らかにのどを痛めた、と思ったまさに次の日から「声がおかしくなった」そうです。
その日を境にあきらかに喉頭に違和感を感じるようになり、
会話中普通に話していると急に声質が変わってしまう、出だしの声がつまる、
声が途切れる、などの発声障害の症状が時々起こるようになったのです。
耳鼻科にいって検査しても、声帯そのものには声帯ポリープや声帯結節などは出来ておらず綺麗だという事で、
特に何の治療もしませんでした。
A君は言います。「喉頭の右側横あたりがグッと閉まってくるのが分かるんです、ここがこわばってくると
途端に声が出しにくくなって、もう話すのが苦痛で苦痛で。話すのが元々好きな性分なんでこれを治したいんです。」
声を痛めた後遺症が十数年たっても消えない、これを本気で何とかしたい、と決意してA君は本格的に当ボイストレーニングを開始。
まずA君の発声の問題点として真っ先に感じたのは、「息を吐きすぎている」ことでした。
「はい」という返事の際、出だしに喉頭で息を強く吐き摩擦音がするくらいの音を立てながら返事をしているのです。
よく昔から聞かれる「息をたっぷり吐きながら声を出す」ということを実践していると、間違いなく声帯にとって弊害になるのです。A君もそれを意識していたと言います。
次に、男性特有の胸に共鳴がある状態から、顔面中央の上顎に声の共鳴を持ってくるメソッドを行いました。
すると、さすがに歌うことが大好きだったA君は
「上顎に声が響く感覚を感じると声の通りがホント、良くなりますね、これで歌えばよかったんだ。
昔、力づくで息を吐きながら歌っていたのがよく分かりました。」と腑に落ちたようでした。
「声の通りがよい感覚」は息を強く吐かなくても息が声になる、ことを身体で感じさせてくれます。
結果、A君の持っている本来の声のトーン(高さ)が出てくるのです。
2か月後、A君はレッスン開始直後、
「声の調子が明らかに良くなったのを感じます。喉頭の右側横も痛くなることがありません。前よりも職場で聞き返されなくなりました。声の通りがいいんでしょうね。調子が良いのでつい歌ってしまうこともあって。」
普段の職場での発声にも気を付けて、集中して日常会話で習慣づけてきたことを報告してくれました。
全くその通り、気を付けていた効果が素晴らしく声に出ていました!
A君のレッスン中の音読の全体状態や会話の声の調子も安定してきたようなので、
そろそろ「歌のためのボイストレーニング」を加えてもよさそうだな、と私は感じました。
いきなり音階練習などをするのではなく、息と声を一致させながら「声の高さを変化させる」とはいったいどういう事かを学ぶことです。
これは、普段の会話などにもとても良い相乗効果を生み出します。
A君がまた心のままに「歌えるようになった」と感じられるよう、ボイストレーニングで応援したいと思いました。