歌っていて以前に比べて「声が出なくなった」と感じたら

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歌っていて以前に比べて「声が出なくなった」と感じたら

2020/11/17

「昔は何にも考えなくてもガンガン歌えていたのに、、、声が出ない、とショックに感じたんです」

と訴える方がいらっしゃいます。

歌うことが大好きで、以前は気持ちよく歌えていたのに、今は歌えないからツマラナイ、と言うのです。

また、

高い音域が出ない、きつく感じる」

「歌っていて息苦しくなる

「音程が届かない、音程が取りづらい、ブレる

のどが絞まってくる感じ」

などの症状があります。

 

逆に

「高音は頑張れば出るが、むしろ中音域が音程が不安定になる」

低い音が出なくなった」

「すぐ裏声にひっくり返ってしまう、地声で歌えない」 、

さらに 

「歌うとすぐ声がかすれてしまう」

「歌うと次の日、声枯れを起こすようになった」 等と訴える方もいます。

 

これらはなぜ起こるのでしょうか?

 

歌唱時の「呼気調節の土台」の上に成り立つ「音程調節」を構築してこなかった、

という原因があります。

つまり、「息を吐きすぎ」る状態で「声帯を閉める」ことに音程を頼ってきた、ということがあるのです。

 

やたらとお腹に力を入れて腹筋を固めても、息をのどで吐いていては全く意味がありません。

本当にお腹に力を入れるようなことをやっていると、まさに喉頭に力みが入り、発声障害になるケースもあります。

 

要は、一瞬空気を入れると横隔膜がわずかに拡張し、肺に空気が吸い込まれ、吸気されます。そしてその横隔膜の拡張状態を

手放さない程度に保持しつつ(お腹には力は入らない)、喉頭を始め身体のどこにも力みがない、

という事が歌唱時の基本です。

 

これが土台に在れば呼気調節とともに、喉頭を閉めずに声帯の絶妙な調節が可能となり、なめらかに音程の推移が出せるのです。

 

若くまだ身体が柔軟な、声帯が健康な時には、「何も考えなくても」息をただ吐きながら、

のど全体で音程を取っていれば良いのですが、声を酷使する時間が多くなるにつれて、そのままではいけないのです。

 

いつまでも「子供と同じ発声」をしていると、「声帯その他の発声器官」に必ずしわ寄せが来るのです。

 

やはり歌唱時の基本である「呼気調節の土台」の上に成り立つ「音程調節」 を構築するには、

時間がかかります。身体の内側の感覚を研ぎ澄ましていくものだからです。

 

学生時代の、演劇部やミュージカルの部活、声優養成所などで、じっくりと発声の基本を教えられることもなく、

大人数で行う発声練習は「形」から入ってしまうので注意が必要です。

 

ただやたらと「叫ぶように大きな声を出す」、「口を大きく開ける」、「息をたっぷり吐く」だとか「お腹に力を入れる」、

さらにはのどを開けるには「舌を下げるように」などといった安易なことを「形」から教えられてしまうのです。

そして、最大の問題は 息の吸い方 です。

 

歌唱時の吸気は もちろん口 です。 というか、鼻と口両方 と思っていたほうが良いかもしれません。

要は、軟口蓋が緩むような吸気 をすることです。その方がたくさん息が入ります。

 

これを口呼吸は悪いから「鼻で吸うように」と教えられることが、最大のリスクになるのではと私は感じています。

鼻で吸い込むと軟口蓋は力み、下がります。のどちんこの両サイド部分が狭く細くなる状態です。

その咽頭の状態で声を出すと、本当にのどが狭くなり、声帯を押し込む感じに閉鎖することになります。

 

呼気調節の土台がしっかりあれば、鼻のみで吸っても軟口蓋は力まなくなります。

「口」から吸い込むほうが深く吸えますし、声帯の開閉にも良い影響があるのです。

 

歌唱時の不調を改善するには、

まず、軟口蓋が緩むような深いブレス、そして息を調節しながら音程をのどで取りすぎない、

という観点から、「発声」そのものを見直すことをお勧めします。