歌で中音域がやりにくい、音程が取れない症状が出たら要注意
2020/09/15
「気持ちよく歌いたい!! 」
歌うことが好きな人にとっては、これは尽きることのない願いです。
しかし、
歌だけは頑張れば思い通りに出る とばかりに、
喉に力を入れて歌う習慣が長期化する事が発声障害の原因になってしまう
こともあります。
ひたすら呼気を強くして声帯を強く閉めれば「高音」を鍛えられる、と思って
カラオケなどで声を酷使していて、発声障害を発症してしまうことが事実多いのです。
むしろ、始めから高音域がスラスラ出て、声量もあり、よく声が出る人に限って、
発声障害のリスクは高いと言えます。
それは、「呼気調節」と「声区チェンジ」を結び合わせるという苦労をせずに
喉頭に力を入れることだけに「音の高さ」を頼ってしまったからです。
子供の時の声には「声区の境目」はありません。
それはなぜかというと発声器官自体がまだ大人の身体ではなく柔軟で、
「呼吸」にも全く力みが無いので「声帯」にも負荷がかからないからです。
しかし成長期後、大人の発声器官に成熟したら、男女とも必ず「声区の境目」は生まれます。
低音~中音域から、高音域へと入る「高さのキツさ」です。
地声で歌う場合はちょうど裏声にしたくなるところの高さです。
そこから先の高さへ地声でなめらかにつなげるためには、
声区のチェンジの際のやりにくさを、
喉頭(声帯)を力ませずに呼気調節とのバランスをどうとるか、ということを、
マスターしなければなりません。
これをマスターせずに子供の時と同じ感覚でひたすら呼気を強くして声帯を絞めて
高音を出していると、
必ず声帯そのものや
声帯以外の発声器官への負荷が習慣性となってそのツケが回ってくるのです。
ツケとはすなわち声帯の開閉の仕方や、軟口蓋や喉頭に関連する筋や、舌などが習慣性に乗っ取られ勝手に動きを取るようになるのです。
よく男性に多くみられる 歌の発声障害 の症状としては、
歌うとすぐに 声がかすれたり、声が二重に割れてしまう、
突然声がゆれたり、声が抜けたりする、
以前出ていた声量が全く出せない感じがする、などがあります。
さらに
ある音域での、高さの変化があると声が頻繁にひっくり返るようになる、
という事も起こります。
また、
中音域の音程が取れなくなるといった症状があります。
しかし、単発の高い音域そのものは押し切ってしまえば出るので、全部大声で歌ってしまう、
逆に中くらいの声量で旋律を滑らかにつなげて歌えない、
という症状が歌の発声障害にはあります。
男性の音域は、女性に比べて 地声でだせる声域が格段に広いのですから
それだけより柔軟な声帯閉鎖の加減を、呼気調節とともにマスターする必要があります。
女性に多い発声障害の症状としては、
男性の音域の歌を、喉頭に負荷をかけて低い声で歌う、ということを頻繁にしていた場合
女性の中音域の声区のチェンジが全く超えられない、
声帯を緩められず裏声が出ない、
といった症状もあります。これらも結果「音程が不安定」となり、高さの出る音域が狭くなってしまいます。
このように歌の発声障害とは、声帯の繊細で柔軟な高さの調節機能が奪われ、
大きな力で動かすことに慣らされてしまった状態です。
これをいったんリセットし、呼吸調節とともに声帯の繊細な調節機能を取り戻すことが
必要です。