痙攣性発声障害を治したいなら、医療機関に通わないほうがいい理由
2020/08/04
痙攣性発声障害 や 過緊張性発声障害は、
大きなくくりでいうところの、機能性発声障害 ということになります。
受診時にファイバースコープ等で声帯の視診を行った際、
声帯ポリープ や 声帯結節 などはなく、「声帯そのものに器質的な病変がない」 ということが確認できたら
それは声帯の問題ではなく、機能性の問題で 声が出しにくい状況が生まれている ということなのです。
(声帯ポリープや声帯結節が重複している場合もあります)
よく耳鼻科等で「痙攣性発声障害」かどうかは分からない、「診断名」がつけられないと告げられ、
それにこだわる方もいますが、大きなくくりでは診断名は全て「機能性発声障害」です。
しかし、この「痙攣性」という言葉には、語弊があると思います。
実際に声帯が「痙攣」しているわけではないのです。
発声器官の運動の力が拮抗し、声帯の開閉に影響を及ぼしているため、声帯の開閉が混乱し、不規則な動きをしており
「痙攣しているように見える」、ということなのです。
たとえ「痙攣性発声障害」という診断名がついたとて、現在の医療機関では完全に治せる「治療法」はありません。
現在医療機関にあるのは、あくまでも 対症療法 のみです。
それこそ毒素でもって筋肉の動きを止める ボツリヌス注射 か、声帯間に突っ張り棒を入れる チタン挿入術 という短絡的な方法です。
「これをすれば治るのでは」と期待すればするほど、後で落胆することが多いのが実情のようです。
レイクラブに来られた方の訴えには
声帯間チタン挿入後、「声のつまり」は以前と同じように残っているのに かすれ声 になっただけでほとんど変化がなかった、
ボツリヌス注射後、声のつまりは完全には無くならないのに声質が ガラガラ声 や ひどいかすれ声 になってしまった、
結局は症状が戻る高額な注射をやめたいのに打ち続けている、
といったことが聞かれます。
医療機関では 声イコール声帯とばかりに「声帯そのもの」に対し対処をしているのですが、実は、機能性発声障害の原因は他の発声器官にあるのです。
声帯にだけ対処を行ったとしても結局「発声時の違和感」「声のつまり」は無くならないのです。
当レイクラブでは、
「舌」と「軟口蓋」の力みに主な原因があるとみて、
発声障害の原因改善に向けたアプローチをしています。
目先の不安を短絡的に回避しようせずに自分の発声障害を受け入れ、少しの期間じっくりと自分の発声に向き合うボイストレーニングのほうがどんなに改善の近道かを知ってほしいのです。
また、
「医療機関だから」と 音声外来のある大学病院等の 音声訓練 に通う方も多いのですが、「思うほど効果が感じられなかった」という声が多く聞かれます。
それは、なぜかというと、
機能性発声障害の改善のための訓練内容になっていないからです。
お腹を出したり凹ませたりして「息をたくさん吐く」(実はこれは腹式呼吸ではありません)、
「口を大きく開けて母音の口形をハッキリ出す」などといった、
脳梗塞などの「脳血管障害」後のリハビリの音声訓練で行うような内容をやらせているからです。
また耳鼻科に併設の音声訓練では、
キーボードで音程を提示され、その高さに声を合わせるようにとか、
高い音程の声を伸ばし続ける、とか、歌唱のレッスンで行うような内容を
やらせていることもあります。
声を出す瞬間の根本的なところがツラいのに、そこを頑張らせてしまうような的外れな訓練をいくらやっても、効果が出ないどころか、弊害になります。
さらに自己流で
無料の動画配信されているボイストレーニングを見よう見真似でやっても一向に改善しないのは、それが発声運動がまだ健常な方向けの内容であるためで、
音だけなぞって「頑張って」声を出してみても、根本問題の改善にはならないのです。
10か所以上も医療機関を転々とし音声訓練を長年にわたり受けてきてもほとんど
改善が感じられなかったのが、当校での短期間のボイストレーニングで大きく改善するケースもあります。
それは、先程も述べた 「舌」と「軟口蓋」に着目した、
発声障害の根本的な原因にアプローチしたトレーニングを行っているからです。
また、レイクラブでは発声時の「呼吸」にも同時にアプローチを行います。
発声の原動力は息であり「呼吸」によるものです。
これは「まずは土台となる腹式呼吸を作りましょう」という大きなことではなく、
鼻腔と口腔のふたつある「息の通り道」、小さな「息の出入りの仕方」の事です。
この「息の出入りの仕方」が、発声器官の内部の動きを決めてしまうといっても過言ではありません。特に「軟口蓋」の動きに影響を及ぼします。
症状に変動制がある方や、特異的な場面のみに急に現れる、という場合は
この「呼吸」の状態が関係していると考えています。
このように発声障害は、
医療機関で扱う「目に見えるほどの粗大な現象」だけでは見過ごしてしまうような繊細な部分と関連しています。
発症してからの早期の「選択」の勇気が、発声障害の改善を分けます。
医療機関以上に発声の悩みを理解できる場所があることを知っていてほしいと思います。