マスク装着時の発声に心掛けたいポイント
2020/06/28
レイクラブでも感染対策に気を付けながら、通常の対面レッスンに生徒が戻りつつあります。
20代女性生徒に、2か月ぶりのレッスン再開時に最近の状況を聞きました。
自宅でのテレワークから、すでに通常勤務に戻っていて、
職場で食事以外マスクを外すことはほとんどない、ということです。
そして、仕事中
時々急に声がつまる感じがして喋りにくくなり、
息苦しく感じることがあるということです。
声が出にくい症状のある「発声障害」を持っている方にとっては、
「マスク装着時の発声」が負担になり苦痛に感じる場面が多々起こります。
まず、通常より声がこもるため「大きく話そう」としてしまうことです。
これにより、呼吸や喉頭に力みが生じやすくなります。
また、マスク装着面が鼻孔に密着し鼻の通りが遮られるために、声の共鳴が変化し、
自分の声の聞こえ方が変化する、ということがあります。
すると、余計に頑張って話そうとするあまり、発声器官に力みが生じやすくなるのです。
発声障害は、声量を出そうとしてもそれが反映されにくい、という症状もあるのですから、マスク装着時の発声は本当に厄介です。
もちろん、回数を重ねるレッスンにおいて元のように声が出しやすくなり、
声量もきちんと反映されるようトレーニングを行ってゆきますが、回復までにさしあたりどう対処すればよいのでしょうか。
それは、
「裏声を出すつもり」で、いつもよりワントーン高めから話しだすようにすることです。
裏声を出せ、というのではなく、裏声を出すようなつもりで、軽く、ということです。
これは、男性女性問わず言えることで、
職場で若干緊張する場面になったり、きちんと話そうとすると
通常よりも「声が低くなる人」が圧倒的に多いのです。
普段の何気ない会話の声のトーンよりも全然低くなってしまっているのです。
これは、
舌が喉頭を押し下げる形となり、すると軟口蓋(俗に言うのどちんこ)も
ふさがり気味になり、声が口腔に入ってこない状態になりやすいのです。
「裏声を出すようなつもり」で、高めに軽く話しだすことは、
マスク越しの会話で一番ネックとなる、語頭 すなわち「最初のことば」の情報を聞こえやすくします。
この「話し出しのことば」が相手にまず聞こえるか聞こえないかで、
そのあとの内容の理解度は、まるで違ってくるのです。
これさえ相手に聞こえれば、聞き返されずに済みます。
話し出しが聞こえないと、まず聞き返されることになり、
余計に頑張って大きく話さなくては、と思ってしまいがちです。
最初のキーワードを、スムーズに相手に聞きとってもらう工夫、
「裏声を出すつもり」で、いつもよりワントーン高めから話しだすようにすることは、
マスク装着時の発声に心掛けたいポイントです。