痙攣性発声障害を左右する軟口蓋(のどちんこ)の上がり度合い
2020/03/08
痙攣性発声障害の症状で、特徴的なことがあります。
ひとつは、程度の差はありますが 声質の変化 と 声の揺れ です。
声が二重に割れたような、ガラガラした感じの低い声になる、ということが挙げられます。声質が変わってしまいます。
重度では常時このようになりますが、
軽度の場合ですと、症状が無い時は普通の声質なのに、急に声質が変化してしまいます。
声質の変化が少ない場合でも、声の揺れ(震え)、声のぐらつき が起こることがあります。
もうひとつは、安定的な声の「なめらかさ」が持続しない、ということです。
ことばの出だしが出にくかったり、もし出だしがスムーズに出れても
2音め3音目のことばの声がつまったりします。
(外転型の場合は声が抜けたりします)
これにより声のボリュームが不揃いになり、なめらかさに欠け、
途切れ途切れのよう に聞こえるのです。
このような現象が起きると、声帯そのものに器質的な異常があるはずだと思いたくなりますが、
痙攣性発声障害の場合、「声帯そのものはキレイ」ということも多いのです。
(声帯ポリープや声帯結節が併発していることもあります)
さらに特徴的なのが、発声時、息が続かない ということです。
吸っても吸ってもすぐに息が無くなる感じがします。
声を同じ高さでロングトーンで(10秒~15秒以上)伸ばせない、ことに現れています。
これは、声帯が呼気を全て声に変換できていない、ということを意味してます。言うなれば
声帯に力がかかった閉鎖の仕方をしているということです。
また 息をのどで吐いている と、呼気の持続が長く出来ません。
これは裏を返すと
「息をのどで吐いている」と「声帯に力がかかった間違った閉鎖の仕方になる」、と言えるのです。
痙攣性発声障害を改善するには、まず、正しい声帯閉鎖の状態にする
ことが大前提となります。
このためには発声時の呼吸との関係が大きく関係しているのです。
さらに、 呼吸と関係しているのは 軟口蓋の動き です。
のどに力みがあると、軟口蓋は下がりやすくなります。
この発声時の軟口蓋の状態を改善することも、根本的な発声時の呼気とのタイミングを矯正する重要ポイントです。
臨床経験豊富な、発声の専門士であるレイクラブのボイストレーナーは、
精細な部分をおざなりにせず根本的に改善することで、大きな改善につながることを知っています。
発声は、私たちが思うよりもデリケートで巧妙な身体のバランスで成り立っているのです。