声の通り、ことばが聞きとりやすい声になるには レイクラブ
2020/02/13
発声は、学校や親から教わりません。
ことばは環境や教育によって教えられ、身に着けたものと言えばそうですが、
「発声」はいわばみな自己流です。発声は色んな話し方に現れます。
なぜか、同じ環境下でも、ことばがハッキリ分かる人と、そうでない人がいますね。
この、
声の通りの良さ、ことばが聞きとりやすい、などの差はどこから生まれるのでしょうか?
それは「発声」の違いです。
声の通りが良い条件とは、喉頭や咽頭がリラックスしていることです。
喉周りが緩んでいると、声がしっかり吹きあがってくるので軟口蓋(俗に言う「のどちんこ」)がよく上がり、
声がたっぷりと口腔内に入ってくるのです。ゆえに結果として口腔内の共鳴がある、という状態です。
舌が力んで、のどの奥に引き込まれ下がりやすい傾向があると、軟口蓋も一緒に下がり気味になるので、
結果、声の通り道がふさがれ気味になり、こもって聞こえます。
これが「声がこもっている」現象です。
喉頭や咽頭がリラックスして、舌も軟口蓋にも力みがない人ほど、
声の通り道が広いので、声が通るのです。
この「声の通り道」を広げることを、
舌に力を入れて舌を下げる、と思っている人が多いのですが、それは全くの逆です。
声を出す瞬間に舌に力みを入れながら声を出すということは、それだけで喉頭に力がかかるので、声帯を強く閉めてしまうことにつながるのです。
また、ことばがハッキリ聞き取れるためには、
自分の声帯に合った「声の高さ」が必要です。
これが意外にも難しく、最も重要なポイントです。
自分に合った声の高さより低すぎても高すぎても良くありません。
意図的に声の高さを変えようと、喉周りが力んでは意味がありません。
自分の声帯に合った声の高さで話していないと、主に舌の動きによって作られる
子音つけ方(構音)が変化してしまうのです。
分かりやすく言うと、
舌の上面で作られるはずの子音が、舌の奥面で作るような感じになってきてしまうので、どんどんのどの奥の方でことばを言うような感じに変化してしまうのです。
発声障害の臨床現場から共通して見えてきたのは、
音声学的に言えば
母音(肉声・声の鳴り)生成 と、
子音(舌の高さ・舌の動きに関係)生成 を、
同時に、近づけて発音するようになる、ということです。
喉頭摩擦音や、喉頭破裂音に近づくということです。
身体的にも
このタイミングに呼吸を合わせようとするので、
喉頭で強い息を吐きだしながら、またはお腹で反動を付けたり、
または息を止める感じに近く、支点を取ってからことばにする、
ということが起こってくるのです。
こうなると、軟口蓋の開閉が逆位相になったり、胸式で胸に力みが加わったり
してきます。こうなると、発声障害の様相を帯びてきます。
発声障害にまで悪化しないまでも、
発話とは身体の絶妙なバランス感覚によって実現しているので、
僅かでもそのバランスが崩れると、途端に声が出にくい、と私たちは感じます。
身体が疲れている時、風邪の声枯れの時でさえも話しにくくなります。
身体の姿勢と同じで、
少しずつ普段の生活習慣によっては 発声も癖がついてゆくものなのです。
肉体的な加齢によるものも含め、発声も常に変化します。
発声機能はキープすることも大切です。何もしないと劣化します。
正しいボイストレーニングによってさらに進化させることもできるのです。