胸式呼吸と発声障害の関係、「呼吸のコントロール」をしすぎた弊害

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胸式呼吸と発声障害の関係、「呼吸のコントロール」をしすぎた弊害

2020/02/09

腹式呼吸」と「胸式呼吸」との違いは何でしょう?

発声障害の症状がある人に、「胸式呼吸」になっていることが多いのはなぜでしょう?

 

これは「息の吸いかた息の持たせ方(呼気持続)」の仕方に関係しています。

このふたつに「胸の力」が加えられていれば「胸式呼吸」、

そうでなければ「腹式呼吸」なのです。

呼吸の過剰なコントロールが「胸式呼吸」を生み出すのです。

 

私たちの体幹部分の内側は、完全に膜状に閉じられた空間があり

横隔膜を境に胸郭と腹腔という二つの空間に分かれています。

横隔膜(しゃっくりが起こった時、痙攣する部位)」がちょうどその仕切り弁になっているのです。

 

深呼吸した時の息の吸いこみ方が分かりやすいので、まずは深呼吸をしてください。

この脇腹の上、ろっ骨の下部分の横隔膜が広がることが先で、後から付随してお腹が少し動きます。

結果として胸郭の容積が大きくなり、肺に大きく空気が吸い込まれます。これが「腹式」です。

 

「腹式呼吸」というと、

お腹を出したり凹ましたりして息をすることだと思っていませんでしたか?

お腹を動かしても横隔膜は広がりません。横隔膜が柔軟に広がるかどうかが肝心です。

 

しかし、

鎖骨のすぐ下の、胸の上部が先に広がることによって、胸郭を広げている、

みぞおちより上、に空気がたくさん入った場合は、「胸式」です。

同じ胸郭を広げてはいますが、その広げ方に違いがあるのです。

 

また、

入った息をできるだけ長く、息を持たせながら出してみましょう。

この息を長く持たせる(呼気持続という)時に、

鎖骨下辺りに力が入っている場合は「胸式」、そうでない場合は「腹式」と言えます。

 

私たちは、寝ている時(横臥)などの小さい呼吸の時は、一切胸に力は入りませんが、

発声時に、

たくさん息を吸って、たくさん息を吐かなければ、と意識的に頑張っていると

次第に「胸の力を借りざるを得なくなり」、「胸式」になりやすいのです。

 

写真のように 仰臥スタイルで、できるだけゆっくりと息が出てゆくのに任せながら声を出してみると、胸に力が入らないことが感じられます。

強く息を吐こうとしなければ、ゆっくりと息を出してゆくというだけで、横隔膜は呼気を保持させています。胸の力を借りなくても、すでに出来ているのです。

しかし、息を強く吐こうとすると、胸にも力が入ってしまうことが分かるでしょう。

要するに

声にするのに「たくさん息を吐かなければ」と思っていると、

この「胸の力で息を押し出す」ということが発声障害では起こっているのです。

声を出す時に強く「息を吐いてはいない」のです。息が全て声に変換されているのですから。

強く吐きながら声を出すことで喉頭に余分な力がかかってしまうのです。

そして胸の力が抜けないまま、さらに息を吸おうとすることで次第に「胸式呼吸」の状態になってしまうのです。

 

発声障害とは、呼吸の過剰なコントロールも原因となっています。

発声障害を発症する人に「胸式」になっている方が多いのは、

発声時に意識的にたくさん息を吸って、息を長く持たせようとしてゆく努力をしてきてしまったために

「胸の力を借りるようになった」からです。

 

これも、発声時に、特に大きめの声を出そうとするときに、

声量を出そうとするときに息を強く吐くことに頼ってしまった結果、

身についてしまった「身体の癖」です。

 

普段の会話なら大丈夫なのに、意識的な発声の時や、長い文章になった時に

発声障害の症状が出やすいのも、この呼吸の力みがあるかないかに因ります。

 

私たちの声は、まさに呼吸の状態と表裏一体なので、呼吸の過剰なコントロール を解き放つことも 発声障害の改善のカギとなります。