痙攣性発声障害の原因が分かり正しい発声練習が出来るようになるマンツーマンボイトレ
2020/02/05
痙攣性発声障害はこわい脳の病気ではありません。
「発声の悪習慣」による二次的な発声の癖です。
過去の色々な情報により良かれと思って
発声時に「息をたくさん吐く」ことを意識して実行していたことに原因はあります。
息を吐こうとすると声帯は開きます。声を出す時は声帯は閉まります。
同時に2つのことをしようとしたら声帯に力が入るのは当然ですし、
また強く息を吐くことが優先になって、次第に声帯閉鎖の仕方が変化してしまいます。
そして、厄介なことに、息を喉頭で吐き出しながら発声していると、
軟口蓋(俗にいう のどちんこ)の動きが「通常と逆の動き」になってゆくことが
最大の痙攣性発声障害の特徴です。
これは鼻音の「ま」行などがやりにくくなることにも関係しています。
本来、軟口蓋が力んだ状態では生理的に声は出しづらいのですが、逆に出来るように身体が学習してしまうと、
二次的発声回路をしやすくなるよう身体が工夫してしまうのです。
息と、声と、ことばにする ことを全部喉頭で同期させてしまうような感じです。
すると、滑らかさが失われることになります。
音響的には、声が一瞬タイミングがずれて出て、しかも口腔にきちんと来ていない感じになります。
また、急に声が止まったり、鼻に抜けてしまうこともあります。
声の通り道が定まらないので、「声が震える」「声がぐらつく」、「声が揺れる」「声量のバラバラ」などが起こります。
通常の発声時は
「声の通り道(声道せいどう)」が安定的に確保された状態です。
すなわち、一定の圧力で出ていく呼気は声となり、軟口蓋や喉頭、舌などにも力みは一切なくそれぞれが柔軟に動いています。
この声道が途切れることはありません。
息と、声と、ことばにする ことを喉頭で同期させてしまうことに忙しくなってしまうと、
いろんなところに同時に力を入れるので、この声道が安定的に確保できません。
まずは「息」と「声」の部分である声道がしっかり確保されていないがために、
軟口蓋が怪しい動きになってしまうとも言えます。
しかし、この声道が正しい状態になると、一気に身体がラクに感じます。
これらのようなことを踏まえ、痙攣性発声障害を改善してゆくには、
通常歌唱系ボイストレーニングで用いるような音階のついている発声練習などは絶対やめるべきです。
これを力づくならやれてしまうことが、むしろ根本的な改善を遠ざけていると言えます。
もっと繊細な、生理的身体的な発声機能に戻す必要があるのです。
遠回りのように感じますが、身体が身に着けてしまった癖の鎖を一つ一つ解いてゆくことが、
本来の生理的な発声機能へと戻ることになるのです。