発声障害に先天性はない、後天的な二次的発声回路の形成が原因
2019/12/16
発声障害に、「先天性」はありません。全て「後天性」と言えます。
発声障害に「生まれつき」は無いのです。
余談ですが、
これは私自身の考えですが、生まれつきの「吃音症」というものも実際は無いのではないか、と思っています。
くしくも幼少期に起こる「発声障害」だと思っています。
人は「オギャー」と鳴き声を上げて生まれた時から、肺呼吸になった瞬間から
声帯は呼気を受けながら閉鎖し、振動し、生理的機能によって声帯を使えます。
そして日が経つにつれ、鳴き声でなくとも、笑い声やうなり声を発声しながら舌の形を変え、母音の変化に近い音声が徐々に生まれてきます。
さらに、
肉声(発声そのもの)に、口腔内における舌の位置の変化による母音の変化ができたのち、
子音を付けるために徐々に舌先を動かすようになって「ことばを覚えてゆく時期(3~4歳)」
をすぎるまでは「吃音」に似た症状は起こりえないからです。
生まれつき口の上天井の固いところ(硬口蓋)がふさがっていないまま生まれた口蓋裂や
上唇が一つにくっついていないまま生まれた口唇裂の場合、声帯の振動音が口腔内から漏れてしまうため
発声機能や言語習得が遅れる場合があります。
また、生まれつき軟口蓋(俗にいう「のどちんこ」)の開閉が出来ない軟口蓋麻痺のお子さんの場合も声が口腔内に来ないで鼻に抜けっぱなしになるため、母音の変化が不明瞭になったりもします。
そうなれば、ことばの習得はもちろん遅れることになります。
聴覚的な障害も含め、このような「先天的」な器質的障害が無い場合、
通常皆、5歳ごろまでには「ことばを獲得」できるわけですが、
5歳くらいはまだ舌の筋力も未熟なのでいわゆる「幼児ことば」があったりするのは
当然のことなのです。
しかし自発話が活発になる幼少期に過剰な「舌の力み」が起こると、
いわゆる「吃音」のような症状が生まれるのだと思います。
「舌の力み」があると、「ことば」は、早く舌が動かないので重く引きずるような感じの口調や、
または母音の鳴りがことばのスピードに追い付かずに「滑る」感じになったりします。
まだ「自我」が確立していない子供本人は、言いなおそうが、声が詰まろうが気にしていません。
それを、親が注意して治すように頻繁に意識付けをしすぎると、精神的緊張がさらに「舌の力み」に転化されることもあるのです。
さらに中学生頃になり、第二次成長期やさらに高校性や大学生頃の思春期になると、自分の「声」に意識が向くようになります。意識的に「声」を変えたいと「発声」を操作したりしだすのです。
レイクラブに来る大学時代接客のアルバイトをしていて発声障害を発症した方や
社会人になって発声障害を発症した方には、次のような経験談を良く聞きます。
昔から「大きな声を出すのが苦手だった」とか、「声のことで笑われたことがある」とか
「声にコンプレックスがあった」などです。
早い人だと小学生高学年から中学生時代に、
授業中当てられたときにとっさに答えようとした時「声が出ない」と感じたことがあったり、
国語の朗読に当てられた時、声量が極端に小さかくなったり、また途中でのどが絞まって声にならなくなった経験があった、という人もいます。
過去にこういった経験がある方は「舌の力み」が強い傾向があったのです。
この無意識な「舌の力み」の下地があった方が、意識して「ことば」を話す習慣が長期化すると
発声障害の発症につながることもあるのです。
今度はこのような声が出にくい状態を回避するために、または自分の理想とする声に近づけようと
ささやき声に近い息っぽい声にしたり、
声の高さを下げすぎたり、または上げすぎたり、お腹に力を入れたり、
自分なりの発声回路を工夫するようになると「二次的な発声回路」が形成されるのです。
ですから発声障害とは、全て「後天的な」ものなのです。