発声障害は自分の「声の出し方の癖」を知ることに改善の糸口がある
2019/12/06
痙攣性発声障害や過緊張性発声障害などの発声障害は、
経鼻的ファイバースコープなどで声帯を視診しても声帯そのものには異変が無く(声帯ポリープや声帯結節が無く)、
大まかなくくりでは「機能性発声障害」と言えます。
これは、
声帯そのものの障害というより、息と発声器官との連動性がちぐはぐになった発声の状態なのです。
これはいわば、声帯には異変は無いものの、発声の機能性が本来の生理的な機能性から逸脱して、
二次的な発声回路が出来てしまった状態。
主な原因は 「発声の癖」です。
習慣によって、発声時の呼吸と声帯閉鎖のタイミングを二次的な運動回路に作り変えてしまった状態です。
この「発声の癖」を作り出す元になる原因はというと、主に「舌の力み」です。
舌は非常に運動性が高く、自分で「舌の力み」が認識しにくいことがこの発声障害を難解なものにしています。
舌は本来、口の中でふわりと「浮いている」ように口内のどこにも触れず位置しています。
舌先で上や下の歯の列の内側を押したり、舌の前面が口の上天井の固い部分(硬口蓋)にくっつけたりはしていません。
また、舌全体が下の歯列より下がっていることも「舌の力み」です。
舌の縁に歯形がくっきりとついている方は、舌が力んでいる(舌の位置が下がっている)といえます。
自分の舌の縁を見て確認してみましょう。
このように舌先や舌前方に力みがあると、口の中の内側のどこかにくっつけて支点を取っていたほうが安心するため、
無意識に日中ずっとその位置に固定されている時間が増えます。
この「舌の力み」がある状態で発声すると、生理的に軟口蓋(俗にいうのどちんこ)も力みます。
本来、軟口蓋が力んだ状態で声を出すことは、生理的な状態ではないので身体的にキツイのですが、
それでも頑張って声を出さなければならないと強制的に発声した結果、
次第に、この軟口蓋の力みがある状態でも発声出来るよう新たな発声回路を作り出してしまうのです。
レイクラブでは、主に、この「舌の力み」と「軟口蓋」に着目した、
発声機能全体を正常化するノウハウを持っています。
さらには舌の運動や喉頭の位置に関連する「下顎の力み」へのアプローチも欠かせません。
最終的に発声障害の最も効果的な改善方法は「下顎の力みをなくす」ことです。
下顎は喉頭や舌の運動に影響を及ぼしますが、困ったことにこの下顎の力みも自分では認識できないこともあるのです。
発声障害の原因が分からない、と思っている人が多いのですが、
原因は発声器官の連携性のどこか問題がある、ということは事実なのです。
「腹式呼吸」がまずは大事、と息をフーフー吐かせるだけの音声訓練では、全く発声障害の改善は見込めません。
原因は声帯そのものではなく、呼吸や発声器官との関連性にあるのです。