正しい腹式呼吸を知ろう!呼吸の力みと発声障害
2019/11/15
腹式呼吸とはお腹を膨らますことではない
「腹式呼吸」は、お腹を膨らまして大きく息を吸い込むことだと思っていませんか?
そして、お腹に手をあてて
下腹部に力を入れ、わざと引っ込ませるように「フーッ、フーッ」と強く吐くことだと思っていませんか?
これを病院や耳鼻科クリニック等の音声訓練としてしきりにやらせることが多いのですが、
全くナンセンスなことなのです。
この練習はいくらこれを繰り返したところで正しい発声のためにはなりません。
かえってこれを情報として得て、
実際に発声時にやろうと習慣づいたことで
発声障害に陥る方が多いことに驚かされます。
発声時の「息の吐きすぎ」が強固にしみついてしまうのです。
この
「息を載せるように」とか、
「息をお腹からたくさん吐きながら声にする」
という俗的なフレーズを本当に意図的にやってしまう事で、本来の発声の機能性が失われてしまうのです。自分の声を意識した時に良かれと思ってやっていたことが発声障害につながってしまうのです。
果ては、この「息の吐きすぎ」により本来よりも声帯を強く閉鎖させてゆくことになり、
「呼吸の力み」を加速させ、どんどん悪循環にはまってゆくことになるのです。
そのくらい声を出す時に意図的に「息を吐く」ことをやってはいけないのです。
なぜなら、本来声になっている事自体が「息は出ている」ことなのですから。
逆を言えば、
「声を出す直前に意識的にたくさん息を吸い込んでから」行うことも同じことで、
正しくありません。
お腹を膨らませて息を吸った直後にすぐ声を出すことも、
声帯上部が狭まる状態からさらに閉めることになり、声帯を生理的な閉鎖状態から逸脱していく原因になります。
また、
身体の横隔膜による呼気の保持状態が取れずに声にすることで、若干力みが喉頭に入り込みます。
そして、その喉頭に力がある状態で声を出すことで声帯が過剰に閉まるように癖づいてしまうのです。
このように生来の発声の機能では
喉頭に全く力みが無く、すなわち声帯への余分な力を一切かけずに息を声に変換できていたものが、
「喉頭で息を吐きながら声帯を閉める」という余計な動作が入り込むことになるのです。
第1声めは特に 息と声が完全一致していたものが
呼気と声になるタイミングがずれてゆくのです。
ずれてしまった分、声帯を強く閉めないと声にならない状態に習慣づいてしまうのです。
こうして
発声障害特有の 第一声目が声になりづらい、と感じるようになるのです。