地声の音域を広げたい!歌声の発声を基礎から作り変える
2019/10/11
地声の鍛え方
以前、ライブハウスなどで「アイドル」グループの活動をしていたというMさん(千葉県・20代女性)は、
歌となると地声の音域がとても狭く、すぐに裏声になってしまいます。
また 全く声量がなく、マイクに声が乗りません。
デビューのために事務所から強制的な 歌唱のためのボイストレーニング が提供されたそうですが、そこでかえって
のどに力を入れて歌う発声 を身に着けてしまったのです。
「とにかく音程を届かせようとして、のどに力を入れて歌っていました。周りがみな歌の上手い子たちだったので。」と
Mさんはそのころを振り返って言いました。
そして、
「自分の本当の地声で気持ちよく歌えるようになりたいです。」という歌への思いを語ってくれました。
基礎から発声を教わる時間的猶予はなく、作られた楽曲をとにかく音程を届かせて歌わなければ、というところで
声を作ってしまうのです。いわゆる裏声を混ぜた「ミックスボイス」です。
喉頭の力で地声と裏声を混ぜた「ミックスボイス」で、あとは息の反動と喉頭の力で音程を取ってしまうのです。
この「ミックスボイス」は本当に発声の基礎ができたうえでやらないと、声帯に非常に大きな負担をかけます。
声帯という発声器官が収まっている喉頭に、常に力みが入り込む発声になっているということです。
声帯を開閉させる枠組みの筋肉の機能に無理な力を加え続けてしまい、
声帯が開閉する機能性が おかしくなってしまうのです。
そのために 発声障害 に至ってしまうこともあるのです。
実際、Mさんは当初 軽度の発声障害 の症状が出ていました。話し声にも支障をきたすほどだったのです。
先ずは 話し声の発声の改善に真剣に取り組み、半年を過ぎ、仕事中の話し声が問題なく行えるようになりました。
そこで、さらに地声の高さの音域を拡大するために、レッスンに歌唱も取り入れたのです。
Mさんに見られたのは、
まず音程を取ろうとして「喉頭を上げすぎ」ていることでした。息をたくさん吐きだしながら、その反動で喉頭を上げすぎているのです。
さらに、音程が移っていく際も、 息を吐きだしながら強く喉頭もろとも締めてしまうのです。
ここで、レイクラブでは よくある歌唱系の音階練習 等を全く行いません。
音階を提示すると、反射的に音程をのどで取ってしまうからです。
先ずは、話し声を出す時のような、全く力を入れない自然な地声で声の高さを変えられる ということはどういうことか、その感覚を掴んでもらいました。
この時息と声が完全に一致して推移すると、身体はとてもラクに感じます。
しかし、息を吐きすぎたり、喉頭を力ませて推移してしまうと、声帯が絞まりすぎて息も止まる感じになり、
ラクに感じません。
喉頭が緩んだ状態の地声で高さを変えていく時に、息の調節機能もシンクロするようなトレーニングを行いました。
Mさんはレッスン中、とても慎重に、集中しながらその感覚を研ぎ澄まして行ったので、
声の高さを変える時の、息の調節とともに喉頭を緩ませながら声帯を締めないコツをつかんでいきました。
これには、喉頭を頸部前面で支える舌骨筋や下顎のリラックスがとても重要です。
Mさんには、この喉頭のリラックスを得るために少し上を向いてトレーニングを行いました。
すると、調節された呼気と声が口腔内に入ってきて口腔内に良く響き、地声で歌えるようになってきました。
しかも、すでにマイクにしっかり声が乗るのでびっくりするくらい声量も出てきました!
本当の地声で歌う 感覚を掴んできたのです。
Mさんも嬉しそうに言いました、
「地声で歌うってこんな感覚なんですね、自分が今まで全く違うことをやっていたのが良く分かりました!」と。
アイドル活動中には感じられなかった、「本当の自分の地声で歌う気持ちよさ」を少し感じられてきたようです。
Mさんとの地声の歌声のレッスンはさらに続いています。